「ふん〜ふんふんー♪」
黙ってれば可愛・・・・いやいや、いつも可愛いまき姫は、
今日は一段と輝いて見える。
ゴールデンウィーク真っ只中、緑が映えてきたこの季節。
淡い水色の、可愛らしいワンピース。
まき姫の「勝負服」である。
「デートかなあ・・・。」
「相手誰!?」
「まき姫もそんなお年頃になったのね・・・。」
陰で見守る一家の人々。
「じゃあ行こうー!!さとしー!!!」
「おう!」
「「「「「(さとしぃー!!!???)」」」」」
黄金に輝く一週間 2STAGE
○●さとしとまき姫の場合●○
「じゃあ本当に買ってくれるんだねー!さとし大好きーvv」
まき姫は、照りつける日差しに負けんばかりの笑顔で言った。
「あったりまえだろ!まき姫の為なら、何でも!」
さとしの笑顔も、輝く。
「たにこやお袋だったら、ぜってぇ買わねぇけど。」
「む・・・・むきー!!!」
「たにこ抑えて抑えて!!」
さとしとまき姫の後をつけていたポン太郎一家全員。
まぁ、よしおは強制参加だったのだが。
たにこは、背は小さいのに態度はデカい兄貴に、鬼のように恐ろしい殺意をギンギン向けていた。
「何あれー。くすくす」
数人の女子高生が、ポン太郎一家を見て笑っているが、たにこたちはお構いナシだ。
170センチもある巨漢(といったらたにこに殴られるだろうが)の中学生、
30代だけどどこか抜けていそうな(実際抜けている)主婦、
30代だけど若々しさがなく、疲れやストレスが溜まっていそうなサラリーマン、
妖精のようなほんわかして上品なおばあさん、
テレビに億万長者として何回も顔を出している精神年齢は15歳のおばあさん、
そしてほんわかしたおばあさんが抱えている・・・・ペット・・・・・らしき物体。
この集団を見て、怪しがらない人がいるわけがない(断言。
「でも・・・さとしくんとまきって、恋人同士なのかしら?」
みほばあが聞いた。
「僕は聞いたことないね。」
よしおが返す。
「昔から一緒にいたしねー。」
初めてまともなことを言ったかもしれないよしこ。
「みほ、明日のお茶は2時からだったわよねぇ?」
明らかに場違いのみさばあ。
「ポンポポンポンポ!!!(わしも連れてってくれ!!ばあさん!!)」
「うるさいよポン太郎!聞こえるでしょ!」
大声を上げるポン太郎を、ありったけの力をこめて制止するたにこ(死んじゃうよポン太郎が
当の本人たちは全然気づいているはずもなく。
「今何してるんだろうなー、あいつら。」
「ああ、家族のみんな?」
「お袋は・・・・またアホたにこと喧嘩してんだろ。
しょーもないことで、しょーもない喧嘩を。」
「あはっ、言えてるー。でも、よしこおばさんは天然だから、喧嘩だと思ってないのかも。」
「たにこ、一人空回りだな。」
「おのれ・・・・。くそちびサッカーバカの兄貴め・・・・。」
たにこはまた背は小さいのに態度はデカい兄貴に、鬼のよ(以下省略
「ひどい!私とたにこは仲良しよねぇ?」
「じゃかしいわ、このくそババア!!」
「酷い!それが実母に向かって言うことなのかしらぁ!?」
「誰もてめぇを実母なんか思ってねえわい!!!」
「・・・・2人とも、聞こえるよ・・・?」
よしおがためらいがちに言った。
「「ああ、そうだった・・・。さとしとまき姫(ちゃん)を追跡してるんだった・・・・って・・・・」」
「マネすな―――!!」
「何よぉ、そっちがマネしてきたんでしょう!」
「はぁ・・・・;」
「ほっときましょ、よしお。」
「え!?」
みさばあはにこにこと言った。
よしおは普段優しい母親からこんな言葉が飛び出すとは思わなかった。
・・・が、みさばあは、やはり「クイーン オブ 場違い(何だそりゃ)」で、
いつも夏に網戸に張り付く小さい虫のことを言っていたのだった。(さすがクイーン オブ 場違い!)
「で、みさばあは何してんだろ・・・?」
「みさばあは、ポン太郎の散歩かもしれないなぁ。」
「それか、みほばあとお茶かなんかしているのかな?」
「でもさ、思ったんだけど、ポン太郎って、みさばあにしか懐かねーか?」
「だよねぇ。あ、まきたちの扱いが悪いからかも・・・?」
「だよな。まき姫この前ポン太郎踏んづけたもんな。」
「そーいうさとしは、ポン太郎を雑巾に間違えてたでしょ?」
あはははと笑いあう二人。
その光景は、なんとも微笑ましいものだった。
「ポン・・・ポポポポンポンポン・・・・(思い出させないでくれ・・・・あの日のことは・・・・)」
ポン太郎は目に涙を浮かべて呟いた。
「私だけにしか懐かない?そんなことないわよねぇ、ポン太郎。
ほら、よしこさんとのダイエットにも付き合ってあげてるじゃない?
それに、まきちゃんや、さとしや、たにこの遊び相手にも、なってあげてるわよねぇ?」
みさばあがようやくクイーン オブ 場違いを卒業したらしい。
が、ポン太郎はというと・・・・
「ポンポンポンポン!!!ポンポンポン!ポポンポン!ポンン――――!!!!
(いやいやいやいや!!!あれは絶対遊びじゃない!いじめているんだよ、おばあさーん!!!)」
「こら、うるさいポン太郎!」
たにこが再びポン太郎を黙らせた。
こんな家族、もういや・・・と涙ながらに思うポン太郎なのだが、
愛するみさばあがあの家族の中にいるからこそ、脱走することはできないのだ。
そんなポン太郎に、苦労犬という称号を与えたい。
「おじさんは・・・・今日、休みだからねえ。」
「柔道の練習でもやってたりして。親父。」
「おじさん、柔道とっても強いよねー!なんでいっつも弱りきった顔をしているんだろう・・・?」
それはお前らのせいだ。
と、心の中で叫んだよしおだったが、
叫ぶとこれ以上弱りたくないため、叫べなかった。
「あれ、茶川!?」
「あ、皆森。と、その仲間たち。」
「「その仲間たちでまとめるな。」」
さとしとまき姫は、途中皆森よーたくん(レッツ プレイ サッカー トゥギャザー参照)とその仲間たち(サッカー部)に会った。
「あー、茶川もしかしてお邪魔だったー?」
ニヤニヤと意味ありげに笑ってくるチームメート。
「おいおい、
あんまり茶化すのはやめよーぜ?」
苦笑する皆森くん。
「は?何がお邪魔なの?」
まったく理解してないさとし。
「茶化す?何にですか?」
そして、まき姫。
「お前たち・・・大物になるぜ。」
チームメートは苦笑した。
「あっ、もしかしてこの前の、さとしを応援しに来た女の子!」
皆森くんはようやく気づいたようだ。
「あー、さとしと見事な連係プレーを見せた人だ!」
まき姫も、右に同じ。
「あ、まき姫。紹介してなかったな。こいつは皆森よーた。・・・と、えっと・・・名前、なんだっけ?」
「「おい。」」
「で、皆森、名前忘れた2人、こっちが・・・。」
「「こら。」」
「茶川まき。」
「茶川?もしかして妹?」
「違うよ。はとこ。」
「へぇー・・・。」
「あー、あたしあの人たちどっかでみたことある!えーっと、えーっと・・・。」
「インターネットで調べれば?」
みさばあは暢気にいった。
「え、インターネット!?それはちょっと・・・;」
驚く一同。
「あったよ・・・・;;」
たにこはまたしても驚いた。
皆森よーたくん、だけじゃなくて自分たちの物語がHPに載っていた。
「すげえ!!!あたし後で見よう!!!」
その頃、さとしとまき姫は皆森くんと別れてどこかの店に入っていった。
見ると、最近オープンしたばかりのクレープ屋ではないか。
「ほんとに、ここのチョコチッププリンフルーツアイスクッキーストローベリーソースがけクレープを奢ってくれるんだね!」
「あぁ。」
長すぎる。打っている私が疲れる。
「俺もチョコチッププリンフルーツアイスクッキーブルーベリーソースがけクレープ頼もう。」
っていうか、なんでそんな長い名前のクレープなんか売ってんだよ。
っていうかどんなクレープだよ。
「へー。まき姫が言ってたのは、クレープのことだったんだ・・・・。」
たにこたちは、まき姫とさとしの席から少し離れた席に座った。
「じゃあ、私も食べよう。すみませーん。
ホワイトチョコチッププリンフルーツミントアイスクッキーカスタードクリームソースがけクレープくださーい。」
この店、絶対潰れるぞ・・・。
「はい。かしこまりました。ホワイトチョコチッププリンフルーツミントアイスクッキーカスタードクリームソースがけクレープですね。
他には?」
「じゃあ僕はウーロン茶でいいよ。」
「私は・・・抹茶アイスクレープくださいな。」
「ここで運命の出会いがあるかしら・・・わたしはストローベリークレープを!」
「ポン!ポポンポン(わしはおばあさんと同じのを!)」
「・・・・。・・・・。・・・・。」
「どーしたんだい、よしこ。」
よしこは、ダイエット中なのだ。
でも、甘いものが大好きなのだ。
「くっ・・・・食えない・・・食いたい・・・今クレープが食いたい・・・ただクレープが食いたーあーい・・・・♪」
※HYのsongfor・・・に乗せて歌ってください。
「よしこ、無理しなくてもいいじゃないか・・・・。」
「そうよ、お金なら私がいくらでも払えるわ。」
「本当に!?あなた!!!叔母様!!!
じゃあ私はホワイトチョコチッププリンバナナミントアイスクッキーマーマレードソースがけクレープ下さい!!!」
ついにふっきれたよしこ。
「かしこまりました。
ホワイトチョコチッププリンフルーツミントアイっ・・・・スクッキーカスタードクリームソースがけクレープがお一つ。
ウーロン茶がお一つ。抹茶アイスクレープがお一つ。
ストローベリークレープがお一つ。
ホワイトチョコチッププリンバ・っ・・・ナナミントアイスクッキーマーマレードソースがけクレープがお一つでよろしいですね。」
この店員、二回もかんだよ・・・。ええんか、この店・・・・。
「ポン!ポポンポンポンポン!!!(待てぇい!わしの抹茶アイスクレープがないじゃないかぁあ!!!)」
「うるさいよ、ポン太郎!いい加減にしてよ!」
ゴス。
ポン太郎、昇天。
一方こちらは。
「おいしーvvさっすがこの店!本当にありがとうねー、さとし!」
「あぁ、大丈夫だって。」
はたから見れば幸せそうな恋人たちである。
「・・・・・。」
さとしは、しばらく黙っていた。
「どーしたのぉ?さとし。」
そして。
「まき姫。」
と、真剣な眼差しでいった。
「何?」
ポン太郎史上初の展開か!?
「もうそろそろ、言ってもいい頃なんじゃないかな、と思ってた。」
「うん・・・。私も、気づいてた。私も・・・・・言うね。」
「おぉ!!ついに・・・・!?」
たにこのテンションはヒートアップ!
「2人とも・・・告白するのかしら!?」
よしこも珍しく真剣な表情だ。
「・・・・。」
何も言わずに、見守るよしお。
「まぁ・・・青春ねえ・・・・。」
感動したような目つきで呟くみほばあ。
「今日の晩は、シチューにしましょうね。」
やっぱりクイーン オブ 場違いのみさばあ。
「ポン・・・(シチュー・・・)」
思わず喉をゴクッと鳴らしたポン太郎。
「「せーのっ・・・・」」
「「そこに家族全員いるよな(ね)!!」」
「「「「「は・・・・?」」」」」」
「やっぱりー!!」
「後ろで何かうるさいと思ってたんだ!!」
「なんでいるんだよ!」
なんと、ばれていたのである。
「ちっ・・・・・。」
思わず舌打ちするたにこ。
「残念だったわね・・・・。」
ホワイトチョコチッププリンバナナミントアイスクッキーマーマレードソースがけクレープをかじるよしこ。
「・・・・。」
やっぱり、あれだけ大声を出していたらなあ、と思うよしお。
「青春・・・なのかしら?」
キラキラした目はいつまでも変わらないみほばあ。
「たーっぷり、スイートコーンを入れましょうね。」
クイーンどころじゃなく、ガディス オブ 場違い(ガディス=女神)なみさばあ。
「ポンポポン・・・(スイートコーン・・・)」
思わず喉をゴクッと鳴らしたポン太郎。
「ばればれだっつーの!」
さとしはため息をつきながら言った。
さとしとまき姫の熱愛疑惑は、まだ、解明できそうにない。
後日、リバウンドしてしまったよしこが泣き叫びながらポン太郎とダイエットしていた。
深空